信頼を深める ラポール・テクニック の実践方法【信頼構築の心理学】
こんにちは! Kuです。今回は、「コミュニケーションで手軽に使える心理術」のなかでも効果の高い「 ラポール・テクニック 」を紹介していこうと思います。
RPGで例えるなら、今までの法則やマインドセットが「ステータスを上げる」目的であるなら、心理テクニックは「武器や防具を揃える」と言ったところでしょうか?
あくまで心理テクニックは「補助のために使う」という考え方で、状況に合わせて使えそうなものを選んで使うというスタンスでいた方が、テクニックに振り回されないで良いかもです。
しかし、これからご紹介する『ラポール・テクニック』は、「信頼構築」において非常に強力なテクニックですので、より人から「信頼」され「人間関係を深められる人になりたい」と考えている方にはおすすめです!
今回の記事のポイント
- 「信頼感」がより必要とされている、カウンセリングにも実際的に使われるほど効果的な心理テクニックを使えるようになる
- 人からの「信頼感」を高める方法を知ることで、交友関係や仕事の幅を広げるチャンスを増やすことができる
- 「信頼感」を高めることで、人と「長く深い付き合い」ができるようになる
ラポール・テクニック とは?
元々はフランス語の「架け橋」という意味の「ラポール」から派生した「信頼構築」のテクニックのこと。
「架け橋」という単語からもわかる通り、「お互いの心が通じ合っている状態」を目指す。
「お互いが安心して、自由に感情の交流ができる関係」を「ラポールが築けている関係」という。
「ラポール」とは、元々はオーストリアの精神科医「フランツ・アントン・メスメル」が使い始めた言葉。
カウンセリングや心理療法の基本的な前提条件とされていた。
今日では、教育やビジネスなど、様々な人間関係の「信頼構築」を助けるテクニックとして活用されている。
ラポール・テクニック に必要な要素
1.《相手を受け入れること》
- 相手の価値観や考え方を否定せずに「尊重」すること
- 相手の気持ちに「共感」すること
- 相手のペースに「同調」すること
- お互いに「安心できる関係」を目指すこと
2.《相手に興味を持つこと》
- 相手の仕草や表情をよく観察すること
- 「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」という姿勢を崩さないこと
- お互いの「共通点」を見つけること
3.《相手に忖度(そんたく)する=相手の本音を察すること》
- 相手の目的を知ったうえでの「相手のために」という考え方を前提にすること
- 相手になりきって「相手の見ている景色」を想像すること
- 相手の「感情」や「心情の変化」に寄り添うこと
ラポール・テクニック ①【キャリブレーション】
ラポール・テクニック ① : キャリブレーション とは?
「キャリブレーション」とは、相手の心理状態やその変化を言葉以外で認識すること。
「姿勢」「呼吸」「表情」「声のトーン」を〔観察〕して、相手の気持ちや感情を「気に掛ける」テクニック。
「心理テクニック」と言うより、「相手の心理状態に注目する」といった、観察者の心構えに近い。
キャリブレーション の 効果
このテクニックを実践することで、どんな嬉しい変化が起きるだろうか?
- 相手の微妙な心理状態の変化を意識的に観察するクセを身につけることで、相手の感情変化に敏感になれる。
- 相手の精神状態や感情に気づけることで、相手の気持ちに寄り添い、信頼感を高めることができる。
キャリブレーション の軸になるものはなんだろうか?
- 「視覚情報」(表情・ジェスチャー・姿勢・仕草)
- 「聴覚情報」(声のトーン・話すスピード・タイミング・口ぐせ)
- 「体感情報」(緊張感・安心感・喜怒哀楽・感情の起伏・好き嫌い)
キャリブレーション の やり方
1.『視覚情報』に注目する
- 「相手は今、どんな表情をしているだろうか? 笑っている? 疲れている? 強張っている?」
- 「相手は今、どんな姿勢だろうか? 前のめり? だらけている?」
- 「相手の目線は今、どこを向いているだろうか?」
- 「相手のテンションは? 楽しそう? だるそう?」
2.『聴覚情報』に注目する
- 「相手の話すスピードは? 早い? 遅い?」
- 「相手の声のトーンは? 明るい? 暗い?」
- 「相手の語尾は? はっきりしている? 不明瞭?」
3.『体感情報』に注目する
- 「相手の雰囲気は? のんびり屋? せっかち?」
- 「相手の勢いは? 情熱的? クール?」
- 「相手の空気感は? 嬉しそう? ピリピリしている?」
キャリブレーション の 効果を高めるポイント
- 「今現状の気持ち」よりも「心理状態の変化」に注目することが大切。
「今、心が動いた」→「なぜ?」「何に?」と考えることで、相手の心理を読み解く「心理的洞察力」が高まる。
- 「相手の見た目の状態」を、言葉で伝える。
「○○そうだね! なんかあった?」とか「○○そうだけど大丈夫?」といった、自分が感じた相手の心情を相手に伝えるのも効果的。
相手は、「この人は自分のことを気にしてくれている人だ!」という認識になり、相手からの信頼感が増す。
キャリブレーション を実践する上での注意事項
- 相手が「気持ちを探られたくない」と思っていることには、必要以上に探りを入れない。ときには「そっとしておく」という選択も相手を思いやることになる。
- あくまで「予測」でしかないことを心得る。「あなたはこうに違いない!」ではなく、「私はこう感じている」という主観で見ていることを認識する。
- 「相手を見抜くこと」が重要なのではなくて、「相手の気持ちの変化を気にかけている」という姿勢そのものがキャリブレーションにおいて重要。
ラポール・テクニック②【ミラーリング】
ラポール・テクニック ② : ミラーリング とは?
相手の仕草や動作、姿勢を「鏡」のように真似ること。
「この人は、なんとなく自分と似ているかも」と思わせることで、相手が自分に対して親近感を覚えるテクニック。
ミラーリング で活用されている 心理法則
《類似性の法則》
自分と似ている、もしくは、共通点がある人に親しみを感じやすいという法則。
ミラーリングはこの『類似性の法則』を活用している。
ミラーリング の効果
このテクニックを実践することで、どんな嬉しい変化が起きるだろうか?
①相手が自分に「親近感」を感じやすくなり、相手の好感度も上がる。
②相手の警戒心が緩み、打ち解けやすくなる。
ミラーリング に必要な要素
①「観察力」相手の仕草や姿勢のクセや特徴を、いち早くつかむこと。
②「演技力」相手に気づかれないようにさりげなく相手を真似ること。
ミラーリング の やり方
1.「相手の動作を真似る」
相手が飲み物を飲み始めたら自分も飲み始めたり、相手がタバコを吸い始めたら自分も吸い始めたりする。など。
2.「相手の姿勢を真似る」
相手が前のめりなら自分も前のめりになり、相手がだらっとしていたら自分もだらっとする。など。
3.「相手の視線を真似る」
相手が見ている方向を見る。相手が窓を見ていたら自分も見たり、相手が振り向いたら、相手と同じ方向を見たりする。など。
4.「思考を真似る」
相手が注文したものと同じものを頼む。相手が上着を脱いだら自分も脱ぐ。など。
ミラーリング をより有効活用するために必要なことは?
- 「あ、いいね! 私もそれやろっと♪」という風に、あくまで「やりたいからやる」という雰囲気で真似ると、打算的にならなくてよい。
- 何でもかんでも真似しない。「気づいたらやろう」ぐらいの気持ちの方が自然な感じでできる。
特に注意して欲しいことは何だろうか?
- とにかく「気づかれないこと」が大切。「真似されている」とわかった途端に、人は不快に感じてしまうので特に気をつける。
- 「相手の観察に集中しすぎて、会話が全然入ってこない」なんて状態にならないように気をつける。
ラポール・テクニック ③【 ペーシング 】
ラポール・テクニック : ペーシング とは?
相手の話し方の「ペース」を真似ること。
相手の「話し方」や「リズム感」、「呼吸」を合わせるテクニック。
ペーシング の メリット
- ミラーリングよりも相手は『類似性』を感じやすく、「話がかみ合っている感覚」が増しやすい。その結果「話しやすい人」という印象を相手から持ってもらえるようになる。
- 相手が話しやすくなることで、相手から話しかけられる回数も増え、より深い話も聞き出しやすくなる。
このテクニックの軸になるものは?
- 「呼吸」を合わせる
- 話す「スピード」や「質感」を合わせる
- 「感情」や「テンション」を合わせる
- 「考え方」を合わせる
ラポール・テクニック ③ : ペーシングのやり方
「呼吸」を合わせる
- 相手の肩、胸、お腹、の動きを観察する。
- 相手が肩を上げて呼吸しているなら、相手と同じタイミングとペースで肩を上げて呼吸をする。
- 相手が息を吸うタイミングと吐くタイミングと自分の吸うタイミングと吐くタイミングを同じにする。
話す「スピード」や「質感」を合わせる
- ゆっくり話す人なら自分もゆっくり話す。ズバズバ歯切れよく話す人には、こっちも歯切れよく話す。
- まったり話す人には自分もまったり話す。優しそうに話す人には自分も優しそうに話す。
「感情」や「テンション」を合わせる
- 相手の表情や話し方に表れる「喜怒哀楽」をシンクロさせる。
- 相手がウキウキなテンションなら、自分もウキウキとしたテンションで接する。
- 相手が真面目なトーンで話しだしたら、自分も真面目なトーンで返事をする。
「考え方」を合わせる
- 相手が「パスタよりラーメン派」と言ったら、自分がパスタ好きでも、この人にはラーメン屋にしか誘わない。
- 相手の「この意見は賛同できる」と思えるやり方を積極的に真似る。
※「考え方」を合わせる。は 、ストレスにならない程度に「自分に嘘をつかない範囲」で相手の「ここは良い!」と思えるところだけあわせればOK。
平たく言えば、「どっちでもいいこと」は相手の意見になるべく合わせてあげるようにすることがポイント。
これは「無理やり相手の価値観に合わせる」ということではもちろんない。
何でもかんでも合わせる人は「自立心がない人」と言う風に相手に映り、逆効果なので気をつける。
ペーシングの効果を高めるポイント
『ペーシング』は、特に相手の「呼吸」を合わせるのが効果的。
感情の変化に影響を受けやすい「呼吸」を相手と同じにすることで、相手の感情に合った態度を取りやすくなる。
実践する上での注意事項
ペーシングの真逆のことをすると、相手は自分に対して「違和感」や「苦手意識」を感じやすくなる。
例えば、誰かに対して自分が怒っていたとする。
それに対して友人が「え? 私あの人好きだけどなぁ」と言いながらニコニコしていたらどうだろうか?
「こいつに話すんじゃなかった」という気分にならないだろうか?
(私はなりますーー仏にはなれません。 もっとイライラするかも?笑)
「なんとなく相手と合わないな」と感じたら、「相手と自分との話し方や態度の違い」を探ってみると良いかも。
ラポール・テクニック ④【バックトラッキング】
ラポール・テクニック ④ : バックトラッキングとは?
いわゆる「オウム返し」のこと。
相手の話からキーワードを選んで、そのまま復唱しながら会話を続けるテクニック。
相手に与える心理的効果が非常に大きく、しかも、手軽に使いやすい。
そのため、『ラポール・テクニック』において一番有名、かつ、一番よく使われているテクニックといっても過言ではない。
バックトラッキング の メリット
- 相手が自分のことを話しやすくなり、気分が良くなる。また、話が盛り上がりやすくなる。
- 「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」という姿勢を、簡単に相手に示すことができる。その結果、相手からの「信頼度」も上がる。
バックトラッキングに必要な要素
- 「事実」を拾う
- 「感情」を拾う
- 「ポジティブ・ワード」を拾う
- 「価値観」を拾う
バックトラッキングのやり方
例:「この間家族とキャンプに行ったの! やっぱ秋の紅葉を見ながらのキャンプはいいね^^めっちゃ楽しかった!」
1.「事実」を拾う
「へぇ!『キャンプ』に行ったんだ! どこの山?」
2.「感情」を拾う
「あ、それは『楽しそう』だね! 何が一番『楽しかった?』」
3.「ポジティブ・ワード」を拾う
「『紅葉見ながらのキャンプ』か~『いいね~!^^』紅葉とかきれいだった?」
4.「価値観」を拾う
「わかる!『やっぱりキャンプは紅葉見ながら』バーベキューとかもいいよね~♪」
バックトラッキングの効果を高めるポイント
- 「相手の気持ち」に焦点を当てて、なるべく「ポジティブなワード」をピックアップするように意識すると、うまくいきやすい。
- 相手が思い浮かべている「情景」を想像しながら聞くと、相手の感情に寄り添いやすくなる。
- 直前のワードにこだわらずに、話が途切れたら、過去の発言から別のキーワードを引っ張ってくるのもあり。
特に注意して欲しいことは?
ただ「相手の言葉端をそのまま繰り返す」と適当な感じに映り、かえって印象を損なってしまうこともあるので注意。
「この人は今、どんなことを一番伝えたいのか?」を考えながらやることが大切。
ラポール・テクニック まとめ
- 『ラポール』とは「お互いに安心して自由に振る舞える」「信頼構築」がされている状態を表す。
- 『ラポール』のポイントは「尊重」「興味」「忖度」。信頼関係を築くためには、相手を「受け入れ」「寄り添う」姿勢が何より大切。
- 『キャリブレーション』は相手の心理状態を言葉以外で察すること。「相手を見抜く」ことよりも「相手を気にかけている姿勢を持つ」ことを大切にする。
- 『ミラーリング』は相手を真似することで、相手に自分との「類似性」を感じてもらうテクニックのこと。相手に気づかれないように、「自然」に「さりげなく」やるのが最大のポイント。
さて、いかがだったでしょうか。
相手との「信頼感」をあげるラポール・テクニックは、どれも手軽で効果があるテクニックなのでぜひ一度試してみてください。
それでは!
【 本日の おすすめ 本 】
>>あなたは、なぜ、つながれないのか―ラポールと身体知
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