ワーキングメモリとは?【 記憶の種類と役割 】
今回は、「 ワーキングメモリ 」「 長期記憶 」「 短期記憶 」 の特徴とそれぞれの違いについてわかりやすく解説していきます。
突然ですが最近、こんなことありません?
「数分前の用事を忘れやすくなった…」「会話の返しに詰まる」「読書に全然集中できない!」「判断力鈍ったなぁ」「最近仕事がぐだぐだ…前はもっとテキパキやれてたのに」
これらすべて、ひょっとしたらワーキングメモリの低下が原因かも? 笑
ということで、今回は頭脳のパフォーマンス『記憶』に関するお話。
ワーキングメモリ の機能
また、一時的に保持されている情報の「整理」や「処理」も行う。
つまり、ただの「記憶」だけの機能ではないため、「短期記憶」と分けて別の機能として考えられる。
記憶=情報をどう扱うかに関わってくる機能とも言える。
使われない短期記憶情報は次々に「削除」されるのも特徴の一つ*
(一度に展開できる情報量には限界があるため)。
*長期記憶から削除されるわけではない。
さて、ざっくりワーキングメモリの概要を説明したところで、まずは本格的にワーキングメモリのことを知る前に「記憶の種類」について大まかに見ていきましょう。
記憶の種類
『短期記憶』
使われる脳の部位:(海馬)情報の選別、記憶、想起、イメージや図などの空間認識を司る。
- 主に単語や数字、絵やイメージなど、単一の情報の暗記。記憶の保持は20秒〜数分程度。
- 「記憶の固定化*」がされない情報はすべて忘却される。
*短期記憶が長期記憶に変わり記憶保持が長期間安定することを「記憶の固定化」という。
『長期記憶』
使われる脳の部位:(大脳皮質)後から進化した部位。場所ごとに思考、運動、感覚など様々な高次脳機能に分かれる。
- 短期記憶によって記憶された情報が海馬によって選り分けられ、定着した記憶のこと。
- 記憶保持は「数時間〜数十年」とも言われている。
- 現在のところ、容量はほぼ無限と言われている。記憶力の世界大会で「円周率の暗唱」なんてのが有名なところ。「いったい、どんだけ言えるんだよ!w」って驚くあれ。ただし、想起できるかどうかはその記憶の質による。
- 「生命の維持に関わること」「繰り返し与えられた情報」「興味、関心の強いもの=ドーパミンが出やすいもの」には特に海馬は反応しやすい(つまり記憶の固定化が起きやすい)。
『長期記憶の種類』
『作業記憶(ワーキングメモリ)』
ワーキングメモリ(Working Memory)とは認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。ワーキングメモリの構造や脳の関連部位を調べる研究が多数行われている。一般には、前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部がワーキングメモリに関与すると考えられている。
Wikipedia「ワーキングメモリ」より引用
使われる脳の部位:(前頭前野、前部帯状回「ACC」)
- 前頭前野はヒトの「知性の象徴」とも呼ばれる脳の部位。高度な情動、認知機能*、意思決定など多様な脳機能に関係している。
- ACCは、感情と衝動の抑制の役割のある「情動領域」と、注意や運動、運動のモニタリングの役割のある「認知領域」に分かれる。
*認知機能:別名「高次脳機能」とも言われている。
『記憶、理解、言語、計算、学習、判断、思考』など、外からの情報に対して脳が処理する機能のこと。
いわゆる一般的な「頭の良さ」とは認知機能の高さを指す。
ワーキングメモリの機能
主にワーキングメモリは三種類の機能に分かれる。
- 「中央実行系」
- 「言語的ワーキングメモリ」
- 「視空間的ワーキングメモリ」
「中央実行系」(前頭葉)
中央実行系の基本的な機能は、目標に応じて下位の認知・記憶システムを制御することであるが、必ずしもモデル提唱当初からその機能は明示されておらず、明確化されたのは比較的近年の事である。基本的には、2つの課題を同時に行う二重課題法 (dual task) により検討がされており、単一課題の加算では説明できない成分が中央実行系の寄与という形で説明される事が多い。
「脳科学辞典|中央実行系」より引用
いわゆる「情報の処理や整理」を担う。
注意のコントロールや認知的操作(話す、考える、計算する)など。
「言語的ワーキングメモリ」(左側頭葉)
音声(言葉)情報の記憶を元に操作する。
この機能が発達していると、音楽家や通訳など、音声に関わる職業に有利。
「視空間的ワーキングメモリ」(右側頭葉)
イメージ情報の記憶を元に操作する。
この機能が発達していると、デザイナーや画家など、映像に関わる職業に有利。
長くなってきたので、ワーキングメモリを鍛える具体的な方法はまた次回!
それでは!
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