【創造性】閃きホルモン『 アセチルコリン 』の機能と増やし方
今回は、「ひらめきホルモン」と呼ばれる アセチルコリン についてわかりやすく解説していきます。
◆この記事でわかること
- アセチルコリンの機能と効果
- アセチルコリンの注意点
- アセチルコリンを増やす方法
◇こんな方におすすめ
- 学習効率を上げたい人
- クリエイティビティ(創造性)を高めたい人
- 「忘れっぽい」や「頭がうまく働かない」を改善したい
アセチルコリン の機能と効果
アセチルコリンは最も早く同定された神経伝達物質である。末梢神経系では、運動神経の神経筋接合部、交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで伝達物質として働く。中枢神経系の一部にもアセチルコリンを伝達物質とする神経が存在する。また、神経系以外でも化学伝達物質として幅広い作用を発揮する。
脳科学辞典「アセチルコリン」より引用
別称「ひらめきホルモン」。
アセチルコリンには、「副交感神経」や「交感神経の一部」、「運動神経」や「神経禁接合部(筋肉のつなぎ目)」に作用して、脈拍・血圧の低下、血管拡張、消化機能の活性化、発汗などを促す作用があります。
また、アセチルコリンが作用する「アセチルコリンの受容体」は数種類あり、アセチルコリンが受容される臓器によって作用が全く異なります。
1914年にヘンリー・ハレット・デールによってはじめて発見され、1921年にオットー・レヴィ―によって神経伝達物質であることが明らかにされました。
カエルの心臓を使って『神経伝達物質』の存在を明らかにした、「
レーウィの実験」が有名。
アセチルコリン の機能
- 「副交感神経」に属する『迷走神経』の終端から分泌された『アセチルコリン』は、心筋にある受容体と結びつくことで血圧と脈拍を低下させる。
- 記憶を司る「海馬」を刺激し、脳を『θ波(シータ波)』の状態にする。
- 神経細胞の分裂が活発になり「アルツハイマー型認知症」予防になる。
- 「作業興奮※」の状態になるのを早める。
※「作業興奮」とは、ドイツの心理学者エミール・クレペリンが提唱した心理効果と言われているが、実はクレペリンの論文を読んだ日本の学者(内田勇三郎)が作った造語であるという説が有力である。
作業を開始してから一定期間パフォーマンス(作業量)が一時的に増大する区間がある。
この作業量が一気に増大する現象を、神経が刺激され働きが活発になることを「興奮する」と表現することから「作業興奮」と呼ばれるようになりました。
アセチルコリン の効果
- 「神経細胞」が増えたり『海馬』が刺激されたりすることで「記憶」「学習」「理解」「判断」などの『認知機能』が向上する。
- 「神経細胞」が増えることで、「記憶力」の低下を防ぎ「認知症予防」になる。
- 脳が『θ波(シータ波)』状態になることで「ひらめき」が起こりやすくなり、「クリエイティビティ(創造性)」が向上する。
アセチルコリン に関するデメリット
『ドーパミン』が不足して、『アセチルコリン』とのバランスが崩れることで「パーキンソン病(手足が震えたり筋肉が動かしにくくなったりする病気)」を引き起こす原因になります。
なので『アセチルコリン』とあわせて『ドーパミン』の分泌も高めることが大切です。
また、サプリメントは過剰になりやすくなるので、なるべく食品から摂るなど、自然に発生させることが望ましいといわれています。
閃き(ひらめき)のポイントはΘ波(シータ波)
『アセチルコリン』が分泌されると、記憶を司る『海馬』が刺激されます。
また、『海馬』が活動的になることで脳が『シータ波(4-8Hzの脳波)』の状態になりやすくなります。
『シータ波』は別名「まどろみ波」とも言われており、『シータ波』の状態のときに「ひらめき」は起こりやすくなったり、「集中力」が向上したりするといわれています。
『アセチルコリン』が直接「ひらめき」の作用を起こすわけではないが、『アセチルコリン』による影響は大きいです。
『シータ波』は「神経細胞」間の情報をやり取りする『シナプス』を活性化し、シナプス同士がつながりやすくなる脳波です。
つまり、脳が『θ波』の状態になることによって「神経細胞間の情報のやり取り」がスムーズになります。
そして、シナプスがさまざまなシナプスにつながると、脳に蓄えられた記憶(情報)が掘り起こされて情報同士がつながり、その結果新しいアイデアが生まれる、という仕組みです。
『アセチルコリンが活発』
→『海馬が刺激』
→『シータ波の状態』
→『シナプスのつながりがスムーズになる』
→『想起力、発想力が向上する』
という流れ。
『アセチルコリン』は「副交感神経」が有利になる、夜が深まるにつれて分泌されやすくなります。
なので、ひらめきを要する「クリエイティブな作業」や「暗記系」の学習は夜に行うのが効果的とされています。
また「ひらめき」は、情報がつながった際に瞬間的に起こるものであり、「長期記憶」には残らないともいわれています。
なので、ひらめきは比較的忘れやすいので、何かをひらめいたらすぐにメモにすることが大切です。
ひらめきが生まれやすい「創造性の4B」
『創造性の4B』とは、フレデリック・へレーン著の『スウェーデン式アイデア・ブック』で紹介されている「ひらめき」が起こりやすい場所のことです。
4Bの「B」は、「ベッド」、「バスルーム(トイレとお風呂)」、「バス(車、電車などの乗り物全般)」、「バー(喫茶店なども含む)」の頭文字を指します。
つまり、「ゆったりとくつろげるような場所」で「ひらめき」が起こりやすく、面白いアイデアが浮かびやすいということです。
この「4B」は『副交感神経』を優位にさせ、脳が『シータ波』の状態になりやすい環境であると言えます。
アセチルコリン を増やす方法
《瞑想》
「瞑想」によっても「副交感神経」が優位になることで『アセチルコリン』は分泌されやすくなります。
ポイントは、「ちょっとウトウトするぐらい」リラックスしているときに分泌されやすいです。
いわゆる「まどろみ」の状態がベストです。
《仮眠》
睡眠中にも『アセチルコリン』の分泌が活発になります。
「仮眠」により脳のパフォーマンスが向上するのは『アセチルコリン』が分泌されることによるものと言われています。
毎日30分の昼寝習慣がある人は、そうでない人と比べて「アルツハイマー型認知症」の発症が1/5になるという実験結果もあり、認知機能を保つためにも仮眠によってアセチルコリンの分泌を促すのが有効です。
《手足を使う運動》
つまり、「散歩」がおすすめです。
「歩行」は脳の「中枢神経系」にある「アセチルコリン神経」を刺激します。
その結果、『アセチルコリン』の分泌量が増えます。
ポイントは「速く歩く」よりは「通常のスピード」で歩いた方が『アセチルコリン』の分泌量が多いという実験結果があるので、ゆったり歩くことを意識しましょう。
また、手先を動かすことでも「アセチルコリン神経」は刺激され『アセチルコリン』が分泌されるといわれています。
なので、手先を使う手芸やパズル、絵や模型作りなどもおすすめです。
※マウスの実験では、自由に運動させたマウスと運動に制限を設けたマウスとでは、「幹細胞の分裂率」が約「2.4倍」もの差が出たという実験結果がある。
そして、注射によって『アセチルコリン』の濃度を高められたマウスは、運動しなくても「神経細胞の分裂」が活発になることも発見されています。
アセチルコリン を増やす食品
『アセチルコリン』の原料は「レシチン」と「コリン」。
「レシチンとは?」
不足すると認知症の原因になる。
「血中コレステロール」の調整もするため「動脈硬化」を防げる。
大豆と卵黄に多く含まれる。「大豆レシチン」は主に血流や肝機能の改善に効果を発揮する。「大豆レシチン」が脳に送られることは少ない。血流に残るため血行促進や育毛効果も期待できる。また「大豆」には、リノール酸(血中コレステロール値を下げ心臓病予防になる)やオレイン酸(抗酸化作用、細胞の老化を防ぐ)も豊富に含まれる。
「卵黄レシチン」は、主に「脳の神経細胞」に送られて「脳機能の維持・改善」に効果を発揮する。「脳機能」を改善したいなら「卵黄レシチン」を摂ることをおすすめする。他にも「卵黄」にはビタミンA(皮膚と粘膜を健全に保つ)やE(抗酸化作用、生体機能の調整)、リノール酸が多い。
《レシチンが多く含まれる食品》
- 大豆
- 卵黄
- 小豆
- ピーナッツ
- ごま油
- チーズ
- 牛乳
- ブロッコリー
- キャベツ
「レシチン」は「ビタミンC」と合わせて摂ると効果的です。
《ビタミンCが豊富な食品》
- じゃがいも、さつまいも(茹でても分解されにくいのでおすすめ)
- パプリカ
- ブロッコリー
- キウイフルーツ
- 菜の花
《コリンが多く含まれる食品》
- 卵黄
- マヨネーズ
- 鶏レバー
- ニシン
- たら
- えび
- サーモン
- ピスタチオ、カシューナッツ
- バジル
- アーモンド
- ブロッコリー
- 菜種
- ヒマワリの種
「ビタミンB12」を合わせて摂ることで「コリン」の効果が高まるといわれています。
《ビタミンB12が多く含まれる食品》
- レバー
- かき(貝)
- さば
- ホタテ
- ほっけ
- しじみ、あさり
- いわし
- あゆ
- 筋子
『DHA』が増えることで『アセチルコリン』の働きが活発になります。
《DHAが多く含まれる食品》
- ブリ
- さんま
- 筋子
- さば
- イワシ
- あじ
- あなご
- まぐろ(赤身)
- 豚肉(肩ロース)
- 鶏肉(胸、皮)
- 牛乳や卵、チーズにも微量含まれている
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アセチルコリンの効果 まとめ
「副交感神経」や「運動神経」「筋肉のつなぎ目にある神経」に作用し、「学習・記憶・睡眠」にも深く関わっている。
『アセチルコリン』が心筋にある受容体と結びつくことで血圧や脈拍が低下する。
『アセチルコリン』が分泌されることで「神経細胞の分裂」が活発になり、「アルツハイマー型認知症」予防や「記憶」「学習」「判断」などに関わる「認知機能」の向上を促す。
『ドーパミン』の分泌が減り『アセチルコリン』とのバランスが崩れると「パーキンソン病(筋肉が硬直する病気)」の原因になる。『ドーパミン』も日常的に分泌させることが大切。
『アセチルコリン』によって「副交感神経」が優位になることで、「海馬」が刺激される。その結果、脳が「シータ波」の状態になりやすくなる。
「シータ波」のとき「記憶力」「集中力」「発想力」が向上する。また、「神経細胞間の情報のやり取り」をする「シナプス」同士のつながりがスムーズになり、その結果「ひらめき」が起こりやすくなる。
夜になるにつれて『アセチルコリン』の分泌量は増える。「クリエイティブな作業」や「暗記系の学習」は夜にやった方が効果的。
「瞑想」「仮眠」「運動」によっても『アセチルコリン』の分泌が活発になる。仮眠による「集中力の回復」は『アセチルコリン』の影響が大きい。
『アセチルコリン』の原料は「レシチン」と「コリン」。どちらも「卵黄」に多く含まれている。「レシチン」は「大豆」からも摂れるが「脳細胞」に届かないため、「脳機能の改善」を求めるなら「卵黄」から摂った方が良い。